悪質なクレーマーには出禁を

小売店による措置「出禁」とは?

スーパーやコンビニ、飲食店などの小売店では、悪質なクレーマーに対して「出禁」と呼ばれる措置をとることがあります。
出禁とは出入り禁止のことで、一言でいえば「もう店を利用するな」という通達です。

店側が出禁を出すケースは、いくつかのパターンがあります。
1つ目は、万引きなどの犯罪をしたり、レジのお金を強盗したり、また店内で暴れるなどの暴力行為を働いた場合です。

2つ目は、悪質なクレーマーだった場合です。
利用者からのクレームに対して店側は真摯に耳を傾けますが、理不尽なクレームやハラスメント的なクレームに対しては、店側は毅然と立ち向かわなければいけません。
その問題解決方法の一つとして、出禁の措置をとることがあります。

3つ目は、ドレスコードを守らない場合が挙げられます。
高級ホテルや高級レストランなどではドレスコードが決められている場合が多く、ビーチサンダルや短パンでの入店が禁止となっていたりします。
そうしたルールを守らない場合には、入店させてもらえません。
高級店でなくても、コロナ禍ではマスクをしない人に対して入店を断るケースもありました。

出禁がもつ法的効力

出禁は基本的に、店側の判断で決められます。
明確なルールが定められている法律はないものの、民法には契約自由の原則があり、店側には客を選ぶ権利が認められています。
そのため、店側が「この人には商品やサービスを提供したくない」と思えば、提供しないという選択ができるのです。

もしも出禁になっている人がしつこく入店を迫ったり、無理やり入店してその場に居座るような行為をした場合、店側が通報すれば刑法で不退去罪や建造物侵入罪に問うことができます。
また民事においても、他の利用者に対して迷惑がかかりますし、店側に損害を与えた場合には損害賠償請求を申し立てることも可能です。
出禁そのものに法的な効力はないにせよ、店が出した出禁を無視して嫌がらせ行為を受けた場合には、断固として法的な措置をとることができます。

出禁を伝える際の注意点とは?

特定の個人やグループを出禁にする場合、どのように伝えるかという点では注意したいポイントがあります。
まず犯罪行為などが原因で出禁にする場合には、弁護士を通して法的な措置をとるプロセスの中で、弁護士から出禁を通知してもらうという方法がスムーズでしょう。

悪質なクレーマーに対して出禁を伝える場合、もし相手の住所が分かっている場合には、文書で通知するという方法がおすすめです。
口頭で伝えると、後から言った言わないのトラブルが起こりやすいからです。
ただし文書を送付する際に、出禁となる本人がその理由を理解していることはとても大切です。
そのため、クレーム対応に強い弁護士へ相談しながら、事実や経緯の確認および文書作成をサポートしてもらうのが得策です。

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